斬新なタイトルです。胸が金でできていて、尻が銀でできている男の子、というわけです。
ただし、この話のメインはその男の子ではありません。はっきりいって、男の子はほとんどモノ扱いです。「いくらなんでもあんまりだよ」的なシーンがいくつかありますが、展開自体はシンプルな昔話です。
金の胸と銀の尻をもつ男の子
昔々、あるところに王と3人の妃が暮らしていた。
ある日、王は戦に出ることになった。そこで王は3人の妃に尋ねた。
「妃たちよ、私が戦に出ている間、どうやって待っていてくれるのか?」
一番年上の妃は答えた。
「私は王のために美しい着物を縫い上げてお待ちします」
二番目の妃は答えた。
「私は王のために美しい刺繍のブーツを縫い上げてお待ちします」
そして、一番年下の妃はこう答えた。
「私は王のために金の胸と銀の尻をもつ男の子を産んでお待ちします」と。
そうして王は戦に出た。はるか遠くまで旅立った。
年上の妃は、その間に美しい着物を縫い上げた。
真ん中の妃は、その間に美しい刺繍のブーツを縫い上げた。
年下の妃は、その間に金の胸と銀の尻をもつ男の子を産んだ。
そのような男の子を産んだことを、年上の妃と真ん中の妃はたいそう妬んだ。
そして、侍従に命じて男の子を縁の下に埋めさせた。
そうして長い年月を経て、王は戦から戻ってきた。
王は年上の妃の縫い上げた着物をたいそう喜んだ。「おお、なんと見事な着物だ!」
真ん中の妃の縫い上げたブーツもたいそう喜んだ。「おお、なんと見事なブーツだ!」
「さて、小さな妃(年下の妃)よ、お前の子はどこにいるのだ?」王は尋ねた。
しかし、そのような子はいない。
「嘘をついたな!私をだましたのか!」王は激しく怒り、年下の妃に手かせ・足かせをつけて追放してしまった。
「ここには二度と戻ってくるな!」そう言って、妃を追放した。
妃は物乞いとなって田舎で暮らすことになった。
それからまた時が流れたある日のこと。
王が宮殿の外に出たところ、敷居の下から何かが着物のすそをひっぱっているのを感じた。
王は驚き、侍従に縁の下を掘らせてみた。
着物のすそをひっぱっていたのは、金の胸と銀の尻をもつ男の子であった。
彼は生きていたのだ。
こうして、二人の妃の悪事がばれることとなった。
「妃たちよ、なにゆえこのようなことをしたのだ?」王は叱責し、年下の妃を捜した。
捜しに捜して、民が年下の妃を見つけ出した。
こうして、年下の妃の潔白が証明されたのだった。
金の胸と銀の尻をもつ男の子を産んでいたのだ。
その後、王と年下の妃、金の胸と銀の尻をもつ男の子は幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。
(シネヘン・ソム在住のドガルマー氏(1930年代生)より2005年に採録、再構成)